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ぼくはまた君に恋するんだろう

「おかえりモネ」第4週感想~言えなかったこと~

 

心の場所を忘れた時は

鏡の中に探しにいくよ
ああ ああ
映った人に尋ねるよ

零した言葉が冷えていた時は

拾って抱いて温めなおすよ
ああ ああ
映った人に届けるよ

大事なものが大事だった事

赤く腫れた目 掠れた声
ああ ああ
映った人は知っているよ

まだ見える事 まだ聞こえる事

涙が出る事 お腹が減る事
ああ ああ
映った人が守ったよ

あなたにどれだけ憎まれようと

疑われようと 遠ざけられようと
ああ ああ
映った人は味方だよ

大事な人が大事だった事

言いたかった事 言えなかった事
ああ ああ
映った人と一緒にいるよ

心の場所を忘れた時は

鏡の中に探しにいくよ
ああ ああ
映った人に教えるよ

映った人に微笑むよ

 

「Smile」
歌:BUMP OF CHICKEN

作詞:藤原基央

作曲:藤原基央

 

こちらも前回のブログと同じく2011年のBUMP OF CHICKENのシングル。

「おかえりモネ」は、「言いたかったこと」と「言えなかったこと」、「言ってしまったこと」の間を繋いでいく物語でもある。台詞にない表情や行間にそれは現れる。15分とは思えない濃厚で美しい時間が流れる毎日。

 

「おかえりモネ」第4週「みーちゃんとカキ」

今週は親子、家族の物語。主として三つの親子関係が描かれる。

 

「三生」は仏教用語で、前生(過去)、現生(現在)、後生(未来)の三つのこと。生まれる前からお寺を継ぐべくつけられた名前。過去も現在も未来も全部繋がっている。このドラマのメインテーマでもある。それを逃れられない運命と取るか、選択肢の一つと取るか。反抗、自立する息子を父親は何も言わず背中で語る。仏心というか広い心で包みこむ。息子も今はまだ重すぎる過去に答えは出さないまでも前に進みはじめる。

(ちょっと調べたら、お寺の跡継ぎがいない場合、本山から僧侶を派遣されたり近くのお寺と合併したりなんとかなるみたい。リアルお寺の息子である内野さんが味方なのが説得力を増しているような)

 

「未知」は名前の通り未来に向かってがむしゃらに頑張っている。お金という現実を突きつけられて逆ギレとも思える反応をするけれど、心の中では悪いと思っていたんだろう。すぐに謝れる素直さも持っている。歯に衣着せず言いたいことが言えて後を引かない親子関係。

(裕福なのかと思えた永浦家。ラボの顕微鏡も学校の借り物だったことが分かる。震災の影がここにもある)

 

「亮」は「人の振る舞いが明るくはっきりしている」様子を表し、ここから「明らか、明るい」、言動がはっきりしていて「まこと」であることを意味する漢字。お父さんを居酒屋に迎えに行った時に「昼間から飲む」ことを咎める息子に「漁師の先輩」として「朝から飲むだろ」と返す父親。それ以上は何も言わず笑顔で応えるりょーちん。端から見たら、微笑ましくさえ感じる。

父親と一緒の時も、モネパパに見つかって気まずそうな顔も、同級生といる時の大人びたりょーちんと違ってちゃんと子どもの顔をしているのが余計に切ない。店先での重い顔とは全然違う。

「優等生の息子」は家でも気を遣って過ごしているんだろうか。他人みたいに「りょーちん」と揶揄するように父親にあだ名で呼ばれた気持ちはどんなだろう。警察呼ばれて周りに頭下げて。震災が無かったら、父親の船で父親に仕事を教わっていたのかもしれないよね。水産高校に進学した時点で漁師になろうと思っていたんだろうし。親子ともどもお互いに愛情があり、自慢の息子、自慢の父親なのも間違いないのが余計に辛いし、希望でもある。

 

 

モネが「人の役に立ちたい」と気象予報士を目指す理由がよく分かる気仙沼里帰りだった。ただ、「役に立つことだけが価値じゃない」ことも言ってくれているドラマだよね。みーちゃんの実験は今回は失敗だったけど、無駄じゃない。過去の後悔も未来に繋がっているから。

 

モネとみーちゃんを山に連れていったおじいちゃんが「海と山は繋がっているんだ。何も関係ねえように見えるもんが世の中の役に立つってことは世の中にいっぺえあるんだよ」サヤカさんが「別にモネが死ぬまで、いや死んだあどもなーんの役に立たなくたってもいいのよ。ただね、これから頑張んなきゃいけない18才のあなたにそれを言っちゃおしまいよ。誰かの役に立ちたい。良いよ、健全だ」

 

こう言ってくれるドラマだから信頼できるんだよ。