beautiful world

ぼくはまた君に恋するんだろう

「おかえりモネ」第23週感想〜逆さに見てた地図〜

 

止まった手のひら

ふるえてるの 躊躇して

この空の青の青さに心細くなる

信じるものすべて

ポケットにつめこんでから

夏草揺れる線路を

遠くまで歩いた

心に 心に傷みがあるの

遠くで蜃気楼 揺れて

あなたは雲の影に

明日の夢を追いかけてた

私はうわの空で別れを想った

汚れた世界に悲しさは響いてない

どこかに通り過ぎてく

ただそれを待つだけ

体は体で素直になる

涙が止まらない だけど

ここから何処へいっても

世界は夜を乗り越えていく

そしてあいのうたが

心に響きはじめる

ママのくつで 速く走れなかった

泣かない 裸足になった日も

 

逆さに見てた地図さえ

もう 捨ててしまった

心に 心に 魔法があるの

嵐に翼ひろげ 飛ぶよ

私はうわの空で

あなたのことを想い出したの

そしてあいのうたが

響きだして・・・

 

私はあいのうたで

あなたを探しはじめる

 

「Swallowtail Butterfly~あいのうた〜」

歌 : YEN TOWN BAND

作詞 : 岩井俊二

作曲 : 小林武史

「Swallowtail Butterfly~あいのうた〜」は1996年の岩井俊二監督の映画『スワロウテイル』の主題歌。なお、主演のCHARAさんの夫浅野忠信さんもカメオ出演されている。

清原果耶ちゃんのインタビュー「果耶れたー」で雨の日に聴きたい曲として紹介されている。

16週で引用した「Lost in Love」のアンサーソングに聞こえてくるから不思議。

 

「おかえりモネ」第23週「大人たちの決着」

新次さんが亮のために美波さんの死亡届を出し、耕治さんが牡蠣棚を継ぐ決心をした週。

 

私のツイッターのTLでは「新世紀エヴァンゲリオン」に似ているって話題だった新次さんと亮。※

妻を亡くし自分を見失う父親。

母だけでなく、僕を見てほしいと思う息子。

それはどちらも愛ゆえの行動なんだけど。

 

嵐の船を正しく導いてくれたヒーロー。

その技術を、精神を、父親として、漁師の先輩として側で見たい。

苺農家を手伝って顔付きも変わった父親。今の生活が安定しているのも分かる。

「それでも俺は親父に船に乗ってほしい」

「俺は、全部は無くしてない。船に乗る親父の姿も覚えているし、なんなら今も目の前にいる」

そう言った亮は、既に父親の返事が分かっていたのかもしれない。

 

話し合いの前に、モネに「(育てた)苺、キレイでしょ。キレイだな、立派だなってね。これ見てっと嬉しくなんの。あいつには、まだそういうのわかんねえかな」と言う新次さん。

美波さんと育てた亮を重ねているのかも。

亮にも愛を育てる喜びを知ってほしい。そう願っている言葉にも聞こえる。

 

新次さんと亮が帰った後、龍己さんの牡蠣棚を継ぐと言い出した耕治さん。龍己さんの健康状態を待っている時間はないと思ったのかもしれない。お前には無理だと言いながら嬉しそうな龍己さん。

 

これは、亮が父親とやりたかったことなんだな。二人で船に乗って。父親から仕事を教わって。いつか、亮が結婚して子供が生まれたら、その子と一緒に船に乗る未来もあるのかもしれない。まだ亮には分からないだろうけど、娘二人を育て、銀行で部下も育てただろう50代の耕治さんだからこそ父親の気持ちも子どもの気持ちも分かったのかもしれないね。いくつになっても親は親で子どもは子ども。大人ももがいている。

 

話は戻るけど、新次さんが船に乗らないのはアルコール依存症だったからってこともあるのかも。船に乗ると、漁協や他の船との付き合いも出てくるだろうし、酒席に出ざるを得ないかもしれない。船にもお酒は積むだろうし。今日は飲まなかった。明日はどうだろう。いつどんなきっかけで戻るとも限らないのが依存症の怖いところなので。物理的にお酒が無いところにいたほうが良い。

でも、それを理由として言ってしまうと、優しい息子のことだから、また心配させてしまうことになる。そんな想いで、美波さんを理由(もちろん一番の理由だろうけど)にしたのじゃないのかな。

 

それにしても、浅野忠信さんの演技は凄かった。受ける廉くんの演技も。ちゃんとこどもの顔になっていて。

 

・8週時点の浅野忠信さんのインタビュー。

https://www.nhk.or.jp/okaerimone/special/interview/12.html

 

・ステラ2021年10/15号より抜粋 ※2 

(12週の撮影で)「ここは亮が成立させてくれるから、僕は悩まずそのままやっていれば大丈夫だ」と感じたのを覚えています。ふとした亮の表情で、全部が理解できるーーー。それを見事に演じる廉くんは、本当にすごいですね。

 

本当に浅野さんがお父さん役で良かったね。

 

※1  東日本大震災をベースにしているとされるアニメ。地軸が変動して日本は一年中夏になり、海岸沿いの町は海に沈み、南極の氷も溶けてしまっている世界。

なお、東日本大震災の際、電力会社の節電要請に応えて同作品中の「ヤシマ作戦」になぞらえて頑張ろうという動きがツイッターではあった。

今でも目にする特報機関NERVという地震速報を教えてくれるアカウント。どんな経緯でできたのか調べてほしい、そう思っているのかもしれない。

https://signal.diamond.jp/articles/-/613

 

 

「ありがとう、さようなら」

感動のシーンなのに吹き出しちゃったよ💦

 

※2  第12週で船に乗れたのに、それ以降一切、乗ろうとしない父親をりょーちんはどう思っていたんだろう。16週で暴れたと聞いて、表面張力のように張り詰めた気持ちが切れてしまったのも分かる気がする。