Hey Hey Hey 時には起こせよムーヴメント
がっかりさせない期待に応えて
素敵で楽しい いつもの俺らを捨てるよ
自分で動き出さなきゃ何も起こらない夜に
何かを叫んで自分を壊せ!
『WOW WAR TONIGHT〜時には起こせよムーブメント〜』(部分)
作詞作曲:小室哲哉
H Jungle with tは1995年、小室哲哉と浜田雅功のユニット。この曲で同年紅白出場もしている。この頃は息子さんがOKAMOTO'Sとして音楽活動するとは思ってなかったなあ…
『95』
脚本:喜安浩平
監督:城定秀夫
第1話「世界の終わりの始まり」
第2話「法を疑え!決めるのは自分だ」
第3話「ダセェ大人になるな」
1. 鈴木翔太郎
桁違いのお金持ちで、容姿端麗、有名私立高、仲間もいてカリスマ性もある。だのに、どこか満たされなさそうな翔。ダサい大人になりたくない、が口癖の翔には親や祖父はどう見えているんだろう。親のお金や庇護の下で生きているのも十分に知ってるんだろうな。だからこそ歯がゆいのだろうけど。
教室で誰とも群れずに「ノストラダムスの大予言」を読んでいる秋久にチームに入るように勧めたのは、周りにいないタイプだったからだろうか。それこそ「花より男子」の道明寺がつくしに惹かれたように。
セイラに「どこに連れて行ってくれるの?」と問われたときの何もできない幼さを露呈するような顔が印象的だった。
2. 岸セイラ
謎めいた少女。3話で過酷な過去が判明した訳だけど、いま、彼女は幸せなんだろうか。昔と違ってしまった友人関係も含めて。
おそらく、彼女は世界の終わりを経験して、それでも生きているサバイバーなのだ。車の中の秋久の言葉は虚しく響く。プールの青い水の中で語りかける声は翔にもQにも届かない。
3. 広重秋久
1995年サリン事件をきっかけに、いてもたってもいられなくて被害者に花を手向けに行こうとする秋久。翔のチームに誘われるけれど、すぐに入るとは言わない。あの状況で「そんなことより悲しもうよ!」と言える秋久は芯が一本通ってるし、優しい人でもある。
「もう後悔はしない」と言った秋久。その後すぐに、あんな悲劇を迎えるとは……
4. 暗喩
秋久の生まれる前の出版で、1995年当時に実際に信じていた人がどれだけいたことだろう。きっと、実際に信じていたかどうかよりも、世紀末とかバブル崩壊後の漠然とした不安を可視化したものなんじゃないのかな。
「マリオネット」
マリオネットとは操り人形のこと。誰かに操られるイメージで語られることが多いけど、この作品では糸がなければ手も足も出ない状態ってことなのかなと思った。
サリン事件や援交女子校生のときには動けた秋久。女子校生に怒られた経験が、姉を助けられなかったのか。例えば、いじめを見かけたとき、痴漢にあって声なき叫びをあげている人に気付いたとき、どれだけの人が"実際に"動くことができるだろう。被害者の叫びを聞かなかったことにしてしまってはいないだろうか。見て見ぬふりをしてしまった後悔の暗喩かもしれない。
2話のドヨンの言葉が響く。見ている私にも。
「あの時は動けた、でも今は動けない。
その差はなんだ?」
だから主題歌が「moooov!!」なのかもしれない。