永瀬廉くんNHK初主演ドラマ「わげもん〜長崎通訳異聞〜」が1/8に放送されます。わげもんの「わげ」は「和解」=「通訳」のこと。時代劇でもあまり馴染みの無い職業なので関連本をいくつか読んでみました。参考になれば幸いです。もちろん、全然知らなくてもドラマは楽しめると思います。見てから読むのも、読まずにドラマ自体を楽しむのも良いと思います。
https://www.nhk.or.jp/dramatopics-blog/6000/456201.html
https://www.nhk.or.jp/dramatopics-blog/6000/457183.html
1. 木村直樹『〈通訳〉たちの幕末維新』吉川弘文館発行
「わげもん」の監修の方の著書。
時代背景を知るには最適。オランダ通詞の成り立ちから三つの事件、ポルトガル語→オランダ語→英語に切り替わる時代背景などが読みやすく書かれている。
裏表紙のコピーが素敵すぎる。
もはやオランダ語だけでは通用しない。
幕末のオランダ通詞たちは
苦悩しながら日本中へ散って行った。
欧米諸国との外交交渉、
英語など新しい言語への対応や
激動の時代を
語学力で生き抜いた姿を追う。
2. 吉村昭『海の祭礼』文春文庫
「わげもん」では、主人公の伊嶋壮多(永瀬廉)に英語を教えることになる森山栄之助(小池徹平)を主人公とした小説。アメリカ人囚人から英語をひとつひとつ学んだ栄之助の若き日を描いている。ペリー来航時の活躍も。
小説なので、読みやすい。当時の日本の様子がわかりやすい。少しずつコミュニケーションが取れる様子が感動的。
言葉が違うために生じるコミュニケーションの不通や齟齬や滑稽さそのものを正確にとらえているようにも見える。
(曾根博義 巻末解説より抜粋)
3. 杉本つとむ『長崎通詞ものがたりーことばと文化の翻訳者』創拓社
「長崎の通詞」が単なる「通訳」ではなく、商人、天文学者など科学者、医師などを兼ねていたこと。ポルトガル語、オランダ語、英語だけではなく、フランス語、ロシア語なども勉強していたこと。当時の日本の科学の最先端だったことなどを教えてくれる一冊。森山栄之助さんの名前も出てくるよ。
近代日本は通詞の外国語学習と翻訳とによって、土台が強固にきずかれたといっても過言ではあるまい。しかも、単に技芸のみを学ぶのではなく、精神をも学びとって、明日の日本のために殉じた。
(えぴろーぐより抜粋)
以下は、壮多の幕末とは時代が違うのですが、面白かったので。
4.片桐一男『阿蘭陀通詞 今村源右衛門英生 外つ国の言葉をわがものとして』丸善ライブラリー発行
壮多や栄之助の時代から遡ること200年ほど前の元禄時代の阿蘭陀通詞の物語。小説では無いけど、ひとりの人物を追っているので読みやすい。鎖国下の江戸時代の話としても読める一冊。
(外国からの)来訪者がこちらの言葉を話すことができず、こちらも来訪者の言葉を話すことができないとなると、そのままでは意思の疎通を図ることはできない。
両者の間に、なにか目的のある仕事でもあったり、解決しなければならない要件でもあったとしたらどうだろうか。交渉は不可能である。
そこで頼りにされるのが通訳である。
5. 片桐一男『江戸の蘭方医学事始 阿蘭陀通詞・吉雄幸左衛門 耕牛』
『長崎通詞ものがたり』にもあったように、当時の海外の科学の最先端だったので、通詞から医師になった人も多かったらしいことを裏付けてくれる一冊。教科書にも載る『解体新書』を著した杉田玄白や前野良沢が弟子入りしている。