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ぼくはまた君に恋するんだろう

「新・信長公記」第五話考察感想〜君の歩幅で歩けるなら〜

時は永禄3年。当時27才だった若武者が尾張の国桶狭間にて、わずか3千の手勢で2万5千もの今川義元勢を打ち破り、その名を轟かせた…その武将の名は…織田信長

織田信長は何故、桶狭間の戦いに勝てたのか?圧倒的な兵力の差があるのに。

今川勢は寄親寄子というその場での利害関係で加わった兵力(今でいう派遣社員?)だったのに、織田勢は生え抜きの部下が揃っていたからだという説もある。「信長公記」によれば決戦前夜に「敦盛」を踊っていたとされる信長。周囲も信長の覚悟を感じていたのかもしれない。

 

「新・信長公記」その伍「桶狭間の戦い

  脚本: 伊達さん  演出: 豊島圭介

 

 

「お前も裏切り者なのか」

この時点で裏切り者は今川義元真田幸村竹中重治井伊直政黒田官兵衛(裏切り者の裏切り者だけど)。

桶狭間の戦いに負けて滅亡する今川家はともかく、真田幸村は大阪の陣で家康と直接対決するが、兄は徳川方についており、どちらが勝っても真田家自体は存続するようになっている。竹中、井伊、黒田もそれぞれ息子の代には徳川方についた。家康の言葉に感動したというより立ち位置を考えての裏切りだと思わせる人選。

 

「束ねる」

「力まかせに叩いたとて良い音色は出んな。バチは加減が難しい」

「誰かを犠牲にして、上に立つ。それは「和」とは呼べん……はずだ。多分」 

ケンカを止めるのも頭ごなしに止めたりしない信長。黒田の提案に納得いかなくても全否定はしない。マイペースに見えて、いつも相手のことを考えて行動している信長。

 

「信じたもの勝ち」

「それでも私は、信じると決めたものは信じたいのです、黒田くんのことも」

「信じたもの勝ちです」

「掛け値なしに相手に託すことを恐れていた」「信じることはきっと強さなんだよ」

「お前の言う「バカ者ども」に教えてもらった」

「俺のことを信じてくれる奴と行動する」

こどもの頃、竹中に裏切られて人を信じることが怖くなった黒田。常に自分がどう動くべきか損得を考えて行動してきたのに、掛け値なしに自分を信じてくれる存在に出会えて変わった。裏切るかもしれないのに「是非に及ばず」と器の大きさを見せる信長と、真っ直ぐで「信じたもの勝ちです」といつも人のために動いているみやび。

 

ツァラトゥストラはかく語りき」※

家康がドイツ語原語で読んでいたニーチェ哲学書。「神は死んだ」というニヒリズムや、誰にでもコンプレックスがあること、それを乗り越えようとする考え方などが書かれている。他人のコンプレックスを刺激して自分に従わせようとする家康はこの本を参考にしているのかもしれない。

 

史実の家康も鷹狩りなどで身体を鍛えていたり、書物を読むのも好んでいたので、その描写か。

 

ただ、家康が本を読んでいる間に、信長はクラスメートの表情や行動を見ている。本は大事だけど、あくまでも過去であり、現在の積み重ねで歴史が作られるのを家康は忘れているような。そういうところも15歳の青さなんだよね。

 

「だが、良い器だ」 

信長は前回の黒田とみやびの会話を知らない。それでも、この一言で自分を信頼してくれていること、認めてくれたことを感じる。とても良いシーン。

 

「束ねない」

「俺はもう誰も束ねない。誰の上にも立たず、手を取り合って心を一つにする。和の心を持って」

仲間のためにあえて裏切り者になった井伊。真田や竹中、明智にもそれぞれの考え、それぞれの正義があるのを分かっているような信長。もちろん信長についている側にも。誰が裏切ったとか裏切らないとかは信長にとっては問題ではないように見える。

 

信長はいつも「君」ファーストなんだよね。

 

キンプリツアーの振替公演のお知らせのFC動画で、「平日なので申し訳ない。有給など取りにくいかも(ニュアンス)」と言ってくれた廉くん。廉くんもまた、相手の立場になって考えてくれる人なんだよね。

 

 

〈今週の戯れ言〉

  • 「お前、このままで終わる気か」「一度の敗北が全ての敗北ではない」武田→黒田の会話がエモい。
  • 「お前にしかできないことなんだ」謙信→明智の会話もエモい。犬飼くんのファンで気づいた人がいるけど、このとき明智の手は右手が下(敵意なし)になっているけど、家康といるときは右手が上(敵意あり)になっている。家康の側にいる明智だけど、真意は他にありそう。
  • 四天王に恋心がバレそうになる本多ハートは癒し。
  • また伊達さまのコスプレも見たい。
  • 美脚信長、最高最強。
  • 「器を変えれば形も丸や四角に変わるのが水。けれど水の性質は失われない。 与えられた環境の中で柔軟に変化し成長していこう」『水五訓』のなかで黒田官兵衛(黒田如水)が残した言葉。

 

※「ツァラトゥストラかく語りき」は「2001年宇宙の旅」のテーマ曲でもあるけど、意識してるのかな。