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ぼくはまた君に恋するんだろう

「新・信長公記」第十話感想考察〜君の絵に愛を〜

「正義は剣じゃありません。盾です」

「正義というものは振りかざして相手を傷つけるためにあるのではないと思います」

『俺のスカート、どこ行った?』より

『俺のスカート、どこ行った?』は2019年の古田新太さん主演ドラマ。廉くんの初の学園ドラマでもある。このドラマで廉くんの演じるクールな明智秀一くん(登場人物全員城の名前なので…)に墜ちた人も多いのでは?

TVerにもHuluにもないけど、どこかで見てほしいです)

 

 

「新・信長公記~クラスメートは戦国武将〜」最終話「友よ」

   脚本:金沢知樹 演出:中島悟

 

「実に人の道とは面白い」

「この徳川にとっては険しい道のほうが歩きがいがある」

「人の一生は、重き荷を負うて遠き道を行くが如し。急ぐべからず。不自由を常と思えば、不足なし」は史実の徳川家康の言葉。理事長、ご先祖様の言葉も知ってるだろうに。平和のためにネオ江戸幕府を作って鎖国したかったのかな。

 

「信長、お前のためなら死ねる」

「今だけは君の盾になるよ」

「悪くないもんだな、誰かの盾になるのも」

……本多くん、「愛と誠?」(誰が分かるの…)

 

「宴」

「よく一人で耐えてきたな」

伊達に肩を抱かれた信長、若干肩の荷が取れたような幼さが一瞬見てとれる演技。

 

「おれは本当は強いんだよ」

明智の言葉に大きく頷いてしまった。史実の明智光秀は本当は強いんだよ。

 

「酒はそんなにガブガブ飲むものではない」

「酒は飲め飲め〜飲むならば〜」の黒田節は黒田官兵衛の息子、黒田長政の逸話が元になっているのを踏まえると面白い。

 

「(水を飲んで)苦い……ミルク飲みたい」

博士に息子がいるってことは奥さんもいたんだろうね。三歳で理事長に博士を殺される前は、家康も家族で仲良く暮らしていたのかもね。ちょっとそんなことを思ったセリフ。

 

酒を水に変えたのは「水盃」(今生の別れ)だけど、本人たちはそうは思ってなくてお酒だと思っているところが良いよね。もちろん空気を読んだ演技の可能性もあるけど。

 

 

「覇王」

「覇王」とは徳によらず「武力」や「策略」で諸侯を従えて天下を治める人のことをいう。「王道」は「徳」を持って世を治めること。それを遂行する者を「王者」と呼んだ。

 

ちなみに、家康は元は松平姓だったが、「得川」の名字を名乗ることになったときに「得」の字を「徳」に変えたとされる。

 

「我が名は覇王、織田信長!」

「うつけども!この信長の前にひざまずけ!」

軍議のときに声の出し方で武将たちをまとめたのも凄かったけど、この声だけで鎧武者たちを屈服させた信長(廉くんの演技)に鳥肌が立った。

 

「この声の先に貴様の道はない」 

「こちらに戻ってまいれ、織田信長

「血に従え!」

「うつけが…」

みやびの声で現実に戻ってきた信長。歴史の織田信長の血を借りなくても決着をつけることができる。

 

信長の行く道は「覇王の道」ではない。

花咲く「王者の道」なのだから。

 

 

「きっと和の心があなたの人生を豊かにしてくれる。その手を…前に出して。そうすれば、あなたの道に花が咲くのよ」

「母上、人生を豊かにしてくれる顔がたくさんあります」

「みやび。生まれてきた意味を見つけた」

「花が…咲いた」

「私が未来に連れていきます」

恋よりも愛。愛よりもなお強い絆。

まっすぐな声を届けて、いつも側にいたみやびだから信長を連れ戻すことができたのだと思う。

 

「みやびおめでとう。貴様はずっとうつけだ 信長」

 

 

〈今週の戯言〉

 

「永瀬廉のTrace」

俳優永瀬廉のこれまでの軌跡を集大成したような演技だった。

 

演技の基本中の基本、「その人物が何を考えているのか考える」を久万監督に教えてもらった『うちの執事が言うことには』の烏丸花穎。

 

目の光を自在に操る演技で頭角を表した『俺のスカート、どこ行った?』の明智秀一。

 

ゴールデン初主演ドラマの『FLY!BOYS!FLY〜僕たちCA始めました』のひたすらに前向きな朝川千空。

 

アイドル要素ゼロの体当たり演技でアカデミー新人俳優賞を受賞した『弱虫ペダル』の小野田坂道。

 

過酷な人生や様々な感情を柔らかい笑顔の奥に隠した『おかえりモネ』の及川亮。

 

闇落ち大学生を淡々と、時には切なく演じる『真夜中乙女戦争』の私。

 

初の時代劇で独特の所作、言葉遣い、発声なども覚えたであろう『わげもん』の伊嶋壮多。

 

 

「ひとつひとつのことを吸収していくような気持ちで、全部が学ぶ場所やと思ってやってます」と「うちの執事が言うことには」のクランクアップで語っていた廉くん。

 

アカデミー新人俳優賞のスピーチで「出演させて下さる作品に少しでも華を添えられるようになりたい」と言っていた廉くん。

 

 

群像劇が多い廉くんだけど、その中できっちり「華」を添えているよ。

 

そしてきっとまだ「通過点」に過ぎない。

永瀬廉くんの未来が花咲く王道でありますように。