汽車を待つ君の横で
ぼくは時計を気にしてる
季節はずれの雪が降ってる
「東京で見る雪はこれが最後ね」 と
さみしそうに君がつぶやく
なごり雪も降る時を知り
ふざけすぎた季節のあとで
今春が来て 君はきれいになった
去年よりずっときれいになった
動き始めた
汽車の窓に顔をつけて
君は何か言おうとしている
君の口びるが
「さようなら」と動くことが
こわくて下を向いてた
時が経てば幼い君も
大人になると気づかないまま
今春が来て 君はきれいになった
去年よりずっときれいになった
君が去ったホームに残り
落ちてはとける 雪を見ていた
今春が来て 君はきれいになった
去年よりずっときれいになった
『なごり雪』
歌:かぐや姫
作詞作曲:伊勢正三
『なごり雪』は1974年のかぐや姫の楽曲。後にイルカのカバーで広く知られることになる。
「夕暮れに、手をつなぐ」
第2話「まさかの恋が、始まった!」
第3話「いつか、この夢が咲く。」
演出:金井紘 脚本:北川悦吏子
前からの知り合いのように、兄妹のようにはしゃぐ音と空豆。
なんでも拾ってくれる空豆。
男性だからと適当にあしらうとかもなく、「(お手玉を)半分寄こせ」と対等な立場で向かい合ってくれる音。
清楚な空色のワンピースを着た空豆が「翔太は何でも知ってた」と言うとき、明らかに気になっているのに「婚活も良いね」と空豆の気持ちに寄り添う音。空豆の傷付いた心が上書きされるのなら、自分じゃなくても良いと思ってそう。
「なごり雪」を空豆みたいな歌だと言う音。いつか東京から旅立つ人だからこそ、あまり深入りしないようにしていたのかも。
そんな音が曲ができたとき、真っ先に聞いてほしいのは空豆。婚活中の空豆に、自分の世界がある響子さんに、遠慮して寂しくてセイラに電話を掛けてしまった音。「蕎麦屋の出前」に繋がるいたずらではと思ったのは無意識に空豆を求めていたのか。
ほんの少しのタイミングのずれ。
何も無いと思っていた焚き火の底から焼き芋を見つけて半分こする二人。
水族館デートではそれぞれ別の物を向かい合って食べていたのに。
並んでインスタントラーメンを食べる空豆と音。左利きの音の手がぶつかっても「ごめん」で済む関係。
聞きにくいことを誤魔化さずにストレートに聞く音。
大事な存在になってきているからこそ、音には言えない空豆。
「いつでも……言わなくても、どっちでも」
音がCMが決まったことを真っ先に知らせたいのはやはり空豆。「空豆が救ってくれた音楽」だから。
(おそらく母のデザインの)ドレスに心を奪われた空豆は子供のように駆け寄る。音にもらったオレンジの靴で。
そして、そのことを音にも知ってほしくて部屋着で冬の街まで駆け出す。音も空豆がどこに惹かれたのか一目見て理解する。
もう王子様に幸せにしてもらうのを待ってる空豆ではないのだから。空豆自身にも心沸き立つものがあり、自分の足で歩いていける人だから。
だからこそ音は本音を言えたのだろうか。
「帰るなよ」「いろよ」
それは、恋というより、夢を諦めてほしくないエールなのかもしれない。
個人的には恋とかすっ飛ばして、こんなに気の合う人なかなかいないだろうから結婚すればって思っちゃう。みもふたもないけど。