beautiful world

ぼくはまた君に恋するんだろう

「おかえりモネ」第16週感想前編〜戻らぬ秒針〜

初めに言っておきますが、私は「おかえりモネ」が好きです。最後まで、この物語の力を信じたい、そう思っています。

そして、以下はすべて私の個人的な感想です。

 

戻らぬ秒針はどこへ進んでいくの?
僕一人置き去りにして
最後の言葉 まだ言えずに
今日も君の姿を探している

忘れようとしても隣にまだ感じる君の温もり
どれだけ後悔重ねたとしても見えてこない未来
願ったって届かないこの想い
I know that, I know that
分かってるのにまだ…

君しかいない 最後の恋は
何度も心で叫んでも
触れられず君は 泡のように消える
薬指のリングはそのままで
苦しくてもいい 傷ついてもいい
そばにいてくれるのなら
どんな犠牲も厭わないのに何故?
振り向かぬまま去っていくの
Lost in Love

Lost in Love

埋めようのない孤独 引き返せない過去
自分の気持ちも掴めない
愛と現実の矛盾の中
今日も君の姿を探している

息が苦しくなるほど愛し合っていた二人のLove story
これまで信じた永遠は嘘のように溶けていく
壊れそうな心を抱きしめて
I love you, I love you
言わずに飲み込んだ

君だけいない 見慣れた景色
君以外何もいらないのに
送ったメッセージの既読付かぬまま
眠れない夜を耐えられずに
「出会わなければ良かった」なんて
忘れようとすればするほど
泡のように包まれた優しさ
思い出しては 気付かされる
Lost in Love

受け入れられたらきっと救われるだろうけど
何をしても君への愛は消えない

「ずっと愛してる」

君しかいない 最後の恋は
何度も心で叫んでも
触れられず君は 泡のように消える
薬指のリングはそのままで
苦しくてもいい 傷ついてもいい
そばにいてくれるのなら
どんな犠牲も厭わないのに何故?
振り向かぬまま去っていくの
Lost in Love

 

「Lost in Love」

歌:永瀬廉、高橋海人、岸優太(King & Prince)

作詞:草川瞬

作曲:草川瞬・坂室賢一

 

「Lost in Love」はKing & Princeの2021年発売アルバム「RE:Sense」の一曲。永瀬廉くんの冠ラジオ「King & Prince永瀬廉のRadioGarden」内で「16週見た〜?モネと二人のシーン。………まあいいか」と言いながら掛けてくれた曲。

 

「おかえりモネ」第16週「若き者たち」

月刊テレビ誌に載っていたときのタイトルは「あなたの痛み」。

それが「若き者たち」に変わったのは主人公たちの世代の未熟さと希望を感じさせる。程度の差こそはあれ、みんな震災で大人にならざるを得なかった子どもたち。

 

24時間営業の喫茶店に到着した時、呆然と座ってた亮の顔の前で手をひらひらして亮をびっくりさせるモネ、いつかのバス停で後ろを歩くモネを「わっ!」と驚かせたのを思い出させる。「どこへ行ってたの?」とか「みんな心配してるんだよ」などと言ったりもしない。だから亮もモネには話ができるのだろう。メニューを渡したりのやり取りも自然で、永浦家の縁側のようなゆったりした時間。自然に向かい合って座る二人。

亮に「オムライスあるよ」「メロンソーダも」と昔の好物を薦めるモネ。「百パーそれ言う」と苦笑いしながらモネを見て「好きだけどさ」と言う亮。「好き」なのはオムライス?それとも………その視線に気付くことなく紅茶(大人の象徴)を飲むモネ。

 

百音「やめても良いと思うよ」

亮「だせえ。自分でそっちの道選んどいていまさらそういうこと言うやつうぜえわ。中学生だった息子が親父の代わりに頑張る。良い話だよな」

百音「それは違う」「りょーちんは頑張ってきたよ、ずっと」

亮「そうかもしれないけど」「周りの期待に応えるってさ、案外楽なんだよ、最初はね」「でも段々苦しくなる」

亮「やめよ、帰るわ」

百音「りょーちん、このまま帰っちゃダメだよ」

ほんの少し感情を見せてくれる亮。落ち着いたのか「モネしか話せる人いない」と泣きそうだった昨日の亮はいない。それだけに、こぼれる本音は辛い。モネに話をしてもどうにもなる問題じゃないから。モネを傷つけるだけなら言わないほうが良い、この時点ではそう思ったのかもしれない。オムライスを頼まなかった亮は。

 

 

仙台から高速バスで駆け付けた三生と悠人たちとも話し合う。

亮「話しても地獄、話さなくても地獄なんだよね」「心をひとつにとかそんなの無理だし」「結局、誰も何も言えないし、祈ってもUFOは来ない」「俺ももう改造はされない」「一生、ずっとこのまんま」「でもそれはしょうがない」

亮だけが改造された、という昔話は亮が抱える問題の大きさを感じさせる。表面上はニコニコ笑っているけど、心の傷は深い。改造人間という言葉は石ノ森章太郎先生の仮面ライダーを想起させるが、亮の笑顔は仮面なんだろうか。

そんな亮の手を取り、三生は叫ぶ。

三生「UFOは来たよ」「みんなで祈れば叶うんだよ!」「そんでな、お前なんかちょろいからすぐもっと良い感じに改造されるしな」「あの人たちのために何かできるなら、それはやりたいって思うじゃん」

「でも今はみんなバラバラのとこにいたって、これからだってUFOは呼べんだよ」

「信じてるよ。手なんかつながなくたって良い。心をひとつになんかしなくたって良い。俺らはUFOだって何だって呼べんだよ!」

「俺ら、もう普通に笑おうよ」

震災から5年。テレビでも特集が組まれていただろう。父親の意思を受け継いで漁師を頑張る亮なんて恰好の被写体なんだろうなあ。「心をひとつに」「絆」とか乱発されていた時期でもあるね。被災者の皆さんはどう感じてそれを見てたんだろう。この物語は分かりやすく涙を誘う演出はしない。その先を見ているようで。

 

ただ、亮にとっては三生の言葉は救いになったと思う。亮に寄り添ってくれるのはモネしかいない訳じゃない。仕事を見てくれている未知もいる。

亮「やっぱ食えば良かったな、オムライス」

それでもやはり、幼なじみと昼ご飯を食べに出ても、まだオムライスは食べられない亮。新次が永浦夫妻のサポートとともに卵焼きを食べるのとは対称的に。

きっと、卵=美波さんがいた頃の幸せの象徴だから、亮が救われるのはまだ先ということなんだろう。

 

 

 

………ここで亮を気仙沼に帰してあげたかった…………

 

(後編「おかえりモネ」第16週感想後編〜戻らぬ秒針〜 - beautiful worldに続きます)

 

(9/16追記)

いまさらだけど、「薬指のリング」って、主人公の彼が彼女に送ったものだよね。何らかの障害で愛し合ってた二人が別れざるを得ないけど、愛し合った証はそのまま。

震災が無ければ…………だよね。