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ぼくはまた君に恋するんだろう

「夕暮れに、手をつなぐ」第4話感想〜愛を歌えば言葉足らず〜

高架橋を抜けたら雲の隙間に青が覗いた

最近どうも暑いからただ風が吹くのを待ってた

 

木陰に座る

何か頬に付く

見上げれば頭上に咲いて散る

 

はらり、 僕らもう息も忘れて

瞬きさえ億劫

さぁ、今日さえ明日過去に変わる

ただ風を待つ

だから僕らもう声も忘れて

さよならさえ億劫

ただ花が降るだけ晴れり

今、春吹雪

 

 

次の日も待ち合わせ 花見の客も少なくなった

春の匂いはもう止む

今年も夏が来るのか

 

高架橋を抜けたら道の先に君が覗いた

残りはどれだけかな

どれだけ春に会えるだろう

 

川沿いの丘、木陰に座る

また昨日と変わらず今日も咲く花に、

僕らもう息も忘れて

瞬きさえ億劫

 

花散らせ今吹くこの嵐は

まさに春泥棒

風に今日ももう時が流れて

立つことさえ億劫

 

花の隙間に空、散れり

まだ、春吹雪

今日も会いに行く

木陰に座る

 

溜息を吐く

花ももう終わる

 

明日も会いに行く

春がもう終わる

 

名残るように時間が散っていく

愛を歌えば言葉足らず

 

踏む韻さえ億劫

花開いた今を言葉如きが語れるものか

 

はらり、 僕らもう声も忘れて

瞬きさえ億劫

 

花見は僕らだけ

散るなまだ、 春吹雪

あともう少しだけ

もう数えられるだけ

 

あと花二つだけ

もう花一つだけ

 

ただ葉が残るだけ、 はらり

今、春仕舞い

 

『春泥棒』

歌 ヨルシカ

作詞作曲 n-buna

 

「夕暮れに、手をつなぐ」

第4話「秘密のキス」

演出:山内大典 脚本:北川悦吏子

 

福岡の交差点で取り違えたイヤホン。

東京の噴水で再開したとき、音はすぐに空豆に気付いていたけど、空豆も覚えていた運命の出会い。その時は翔太と一緒だったから覚えていないことにしていたのかも。

 

心踊らせるドレスを見せて「帰るなよ」「いろよ」と言われた空豆は大袈裟に音に聞く。「おいと結婚すると?」と。ウエディングドレスなのだから結婚をほのめかしたと思われて当然なのを確かめたのだろう。だが、音は否定する。「他力本願さもしいって言ってたばかりやん」と関西弁(素の言葉)で。

 

居酒屋を2件ハシゴして朝帰りの音と空豆。カラオケとかじゃないところが二人らしい。いくらでも話足りないんだろうな。気が合うなんてもんじゃない二人。

 

だからこそ、友達から恋人への一線を超えるのが怖い。捨てられるのが。捨ててしまうのが。(音は元彼に去られたけど、見方を変えれば夢と彼女との普通の生活を天秤にかけた、とも言えるよね)

 

「おいはダサい」

「振り切ったほうがバカにするほうもバカにしやすい」

伊勢丹やらバーニーズに大東京トレーナーで行く空豆。美醜感覚が無いわけではないのに。独特のガサツさも、「おい」に象徴される空豆語も、田舎での自分を守る鎧だったのだろう。翔太が「ジュリエット」ではなく「金太郎」を空豆に演じさせてクラスの人気者になったように。そうやって守ってくれたように。

 

だが、本当に空豆はジュリエットを演じたくなかったのか。

 

自分の容姿が良いのも自覚していた空豆。目立っていじめられるのを恐れていた空豆。だからあの時はあれで正解。

それとは別に、空豆の本心はどうだったのか。

空豆が喜ぶと思って指輪を渡した翔太は、本当に空豆のことを、空豆がやりたいことを知っていたのか、知ろうとしていたのか。

 

1話でロミオとジュリエットのようにお互いの名前を教え合う空豆と音。

2話で空色のワンピースを着た空豆に「それ似合ってる」「見違えた」と素直に褒めてくれる音。

先回りせずに空豆がしたいことを導いてくれる音。

ジュリエットでも大東京でも変わらずに接してくれている。

 

夢に向かう一歩を踏みださせてくれた音のスニーカー。

「このドレスを着たらどこへでも行ける気しない?」

心踊らせるドレスを着た空豆の足にはスニーカーは見えない。

これから春になってキレイになるだろう空豆にはもうスニーカーは似合わないのか。

 

7日だけお姉さんの空豆

夢に一歩先にたどり着いたかに見える音。

溢れんばかりの才能の片鱗を見せる空豆

 

初めてのキスでさえもすれ違う二人。

「春泥棒」の想い出が共有される日は来るのかな。

 

 

(追記)

どうでも良いけど、庭ラジ想い出リクエストガーデンにこの「春泥棒」イヤホンのリクエスト来たら、「マジで?そんな偶然ある?」っていじってくれそう。それでもそんなこともあるかもしれないと受け止めてくれそうだよね、廉くんって。