beautiful world

ぼくはまた君に恋するんだろう

「おかえりモネ」第8週感想〜かもめ〜

あきらめましたあなたのことは

もう電話もかけない 

あなたの側に誰がいても

うらやむだけ悲しい

かもめはかもめ 孔雀や鳩や

ましてや女にはなれない

あなたの望む 素直な女には

はじめからなれない

青空を渡るよりも

見たい夢はあるけれど

かもめはかもめ ひとりで空を

ゆくのがお似合い

 

あきらめました あなたのことは

もうゆくえも知らない

あなたがどこで 何をしても

何ひとつ私では合わない

かもめはかもめ 孔雀や鳩や

ましてや女にはなれない

あなたの望む 素直な女には

最後までなれない

この海を失くしてでも

ほしい愛はあるけれど

かもめはかもめ ひとりで海を

ゆくのがお似合い

 

「かもめはかもめ」

歌 : 研ナオコ

作詞 : 中島みゆき

作曲 : 中島みゆき

「かもめはかもめ」は1978年の研ナオコのシングル。後に中島みゆきにセルフカバーされている。余談だけど、当時の家庭用カラオケは通信じゃなくカセットやDVDを入れる方式だったので、友達のお母さんの好きな曲を歌う14才がいても不思議じゃない、と思う。

 

「おかえりモネ」第8週「それでも海は」

泣いた。とにかく泣いた。りょーちんにも、新次さんにも。海にも。

 

アドラー心理学には「課題の分離」という概念がある。他人の問題や人生を必要以上に引き受けないという考え方。

 

「俺は絶対に立ち直らねえ」

立ち直ることは美波さんを忘れること。前に進むには今いる場所を捨てなければならない。立ち直る方法も分かっているはず。

(船は保険が降りてるはずだけど、借金返済はノンバンクの分かな)

りょーちんは父親のために母親の代わりになろうとするけれど、「俺は歌なんかで誤魔化されねえ」と拒絶される。母親の代わりにはなれない。カモメが孔雀や鳩になれないように。なる必要もない。

前に居酒屋に父親を迎えに行ったときに「昼間から飲むなよ」「漁師は朝から飲むもんだろ」と笑い合う新次さんとりょーちん。親子じゃなくて夫婦みたいだった。でもやっぱり夫婦じゃないと息子を突き放す新次さんは新次さんなりの優しさなのかもしれない。これは新次さんの課題で息子が必要以上に関わるものではないから。

(歌を歌うシーンのことで)

亮自身、父親とモネの家族の話しを聞いてて、身体が勝手に動いちゃってたというか。表面張力のような感覚、気持ちで今までやってきてて溢れちゃったというか、気づいたら身体が勝手に動いてて。それで「(親父が)絶対に立ち直れねえ」と言うので、あ、親父はそうなんだというか、ひとつの諦めのような感じも生まれてきたというのも覚えています。

(「あさイチ」より永瀬廉インタビュー)(文面変えています)

 

(アドリブで「親父!」「親父!」と2回言ったことに対して)

一回「親父!」って言って、親父の反応が無いなと僕の中で思って、こんだけ叫んでるのにこっちも見ないし、ずっとうつむいたままなので、このままじゃダメだ届かないかなと思って、出ちゃいましたね。歌をちゃんと聞かせたかったというのもあるし。

(「あさイチ」永瀬廉インタビュー)

 

「俺らの好き勝手やって生きていく」

父親のために母親のようになることを諦めたりょーちん。納得はしてないだろうけど。

モネと二人縁側に座り、心の内をほんの少しさらけ出す。親父のようなガサツな漁師は苦手だけど、海は嫌いになれない。海に恨みは無い、と。(親父も嫌いになれないってことだよね)りょーちんはりょーちんなりの漁師を目指すのだろう。(徹夜で勉強してたの?と聞いてくれるりょーちん、優しいね。りょーちんの表情がとても穏やかで良かった)

同級生たちの進路を肯定しつつ、りょーちんは絞り出すように話し出す。「過去に縛られて何になるよ」「こっから先の未来まで壊されてたまるかっつうの」「俺らは俺らの好き勝手やって生きていく」「俺らが前を向くしかないんだ」それはまるで決意表明のようで。親に憧れて漁師になったりょーちんだけど、いつしか自分の好きなことになったんだろうか。これまで人のために生きてきたりょーちんが自分の人生を生きようとする瞬間だった。

 

アドラー心理学では更に「共通の課題」という考え方もある。問題を抱えた人に寄り添い、アドバイスを与える。「共通」なので途中で投げ出したりしてはいけない。

 

「船のことがあってからあいつから逃げてた俺が悪い」「明日からまた前を向く一日目を始めれば良いって」「そう言ってやりたい」「言い続けてやりたい」そう語る耕治さんに「幼なじみだけの問題にしないでよ」と応えるアヤコさん。二人とも長い問題に向き合おうとする覚悟ができている。

新次さんは良い友達を持ったね。モネの幼なじみはこんな素敵な関係になれるのかな。

 

 

(以下、どうでも良いこと)

・けあらしの中でりょーちんの船を見送っていたモネと新次さん。感動的な場面だけど、モネちゃん、りょーちんにLINEとか電話とかしてないよね、きっと💦誰か伝えてあげて😢

 

・アヤコ→耕治→美波→新次

 菅波→⇠モネ←亮←未知

 大逆転ある?このまま?りょーちんが幸せなら何でも良いけど、優しすぎて好意を向けられるとムゲにできないからなあ。現実でもよくあるけど。

 

・永浦家、及川家ともに第1子が産まれたのは32才。永浦家は結婚してたんだろうけど、美波さん、よく待てたね。

 

気仙沼のフェリーの近くにいるのはウミネコらしいけど、カモメは渡り鳥だから無事に帰ってくることも暗示してるよね。船のモビールはそういう意味もありそう。モネの実家にあったカエルの置物も。

 

・ガラス越しのりょーちんが美しすぎて初見の時はグラビアかと思ってしまった。口元と目元でしっかり演技しているのは流石。

 

・父親に背を向けて泣くりょーちんの背中が寂しくて、廉くんに「オレがおるやん」って言ってほしくなった。

 

・コロナ禍で本番以外マスクをしなければならないことを「リハのときは表情が見えないので本番は新鮮な気持ちになれる。それはメリット」と言う廉くんに心の底からびっくりした💦(この番組ではないけど)いろんな俳優さんに対して同じ質問されてるのを見てきたけど、否定的なコメントしか見たことなかったから。

 

 

・浅野さんのインタビューが嬉しかったので覚え書きとして

僕から見れば全然問題ないシーンで本人の中で納得いかなかった時にちゃんと僕に打ち明けてくれて、それに対して僕も思ってることをちゃんと言いますし、そういうことでコミュニケーションによって二人の絆がどんどん深まっていると思うんで、役を通じてそれが表現できていると思います。

いやもう回数を重ねると、どんどんその人物になっていく感じがしますかね。予定調和じゃない部分がどんどん出てくる。それはやっぱり僕もノッてきますし、やりやすいところなんでそういうところ出してくれるのはありがたいですね。

(「あさイチ浅野忠信インタビュー)

 

 

 

 

あさイチ「プレミアムトーク 永瀬廉」 https://plus.nhk.jp/watch/st/g1_2021070926634